金平糖




廊下で偶然会ったやちるからもらった金平糖。

透明のビンの中で、小さな星が日差しに反射して、きらきら光る。 まるで、本当の星みたいに。

ポンと音を立てて、コルクの蓋を抜いて開ける。
沢山の色の星の中から、黄色い星を摘んで。
口の中にほおり込む。
コロコロと、口の中で転がして、その感触とその甘さに懐かしさを感じた。

小さな星が溶けてなくなった途端、何とも言えない物足りなさが湧き上がって。
ビンの中から、今度は白色の星を摘む。
口の中にほおり込んで、今度は小さく噛んでみた。
ガリッと小さな音を立てて、星は砕ける。
噛み砕いてしまって、口の中に残る甘さに少しの満足感に少しの不満足感。

しばらくビンを眺めていたが、これでは満たされない事に気付いてしまった。
自分から甘えるのはすっげぇ癪だけど。
これ以上、意地を張っていても、むなしくなるだけだから。

ため息を一つ。
コルク栓をビンに戻す。
反射して光る星を懐に入れて、戦闘準備。

甘ったるい砂糖菓子の星なんかじゃ満たされないモノを満たしに。
どうやってあいつを懐柔させようか?






鴻軌さんより頂きました。
エチャでご一緒させていただいた折彼女出題『金平糖』を文で表現してくださいました‥っ
なんで‥こんな‥いい人ですか鴻軌さん‥
ありがとうございました大切に保管させていただきます‥っ


2005/09/09 耶斗