ワンクッションおかなきゃ絶対いけない。
なと思ったので軽く説明。

陰間とーしろ(大)×死神一護

です。(ワンクッション!?これワンクッションなの!?っていうか説明なの!!?)

あと‥とーしろーの性格破綻してるんですけど。
洒落にならないくらいだってことは分かっちゃいますがどうにもこうにもとーしろーでなきゃ嫌なんです。(ワガママ!)

スクロール pleaz




















  舌と指と



 燈籠の紅い灯りは翳を掃うに十分な光量とはならず、淫靡な空気を引立たせる。黒崎一護は己をここへ連れてきた先輩である死神を内心で詰った。
『女もいいが、男とも経験しておかないとな』
 男として、と訳のわからない理屈に附きあわされ己は今ここにいる。
 八畳一間にひとつの布団。
 いや、用意されても使わないから。使えないから。
 先輩の誘いとあって無下に断ることもできないから、部屋にはいるまでは付き合って後はこっそり帰ってしまえと軽い気持ちでついてきた己の軽率を呪う。店の敷居を跨げば相手を選べと言われ、勝手なんて知らないから先輩に目で助けを訴えれば彼は心得顔で何事か店の者に告げて。それでもまだなんとかなるだろうと、その考えは変わらないままのこのこ案内された部屋へ踏み入れば
「それで?やらねぇの?」
 帰ることもできず半刻ほどが過ぎた。
 ぞんざいな口ぶりは客として見ていないのか(見られても困るが)、それともそれが彼の手管か。窓下に寄り身を強張らせる一護と褥を挟んで腰を下ろす男は陰間などという名称から想像はしなかったなんとも男くさい人物だった。年のころは18か、既にとうは立っている。これで男の相手ができるのだろうかと落ち着かない視線ながら訝った。
「なぁ」
 億劫そうに後ろ頭をかいて、まるで女がその色香を見せ付けるような仕草で喉首を晒す。肌蹴た胸元は、なるほど女なら擦り寄りたくなるだろう。
 けれど生憎己にその趣味はない。
 一向に応える素振りのない一護にその意を汲んだか、諦めたか呆れたか、男はひとつ吐息して筋肉の弛緩したように上げていた腕を下ろした。胡坐をかいて張った布地は存外大きな音を立てた。
「何も答えねぇなら俺は好きにやらせてもらうけど。指名もらったかぎりは満足させねぇとな」
 畳の擦れる音にはっと一護が膝を立てる。条件反射だ。敷布に手をつき身を乗り出した男の苦笑する気配がしたが、灯りに背けた顔は影に隠されて窺えなかった。
「そう警戒しなくてもいいだろ?あんたが俺を買ったんだぜ?」
 買った、とその響きが耳について一護は眉間の影を濃くする。違う、買ったんじゃない。ただ付き合わされただけだ。己は何もせずこのまま帰るのだ。そう、帰る‥
 ゆっくりと男は一護へと床を這う。宥めるように表情を微妙に変えつつ、そうして一護もまた後退するのみでその進行を阻まなかった。粗い塗りの壁が一護の背を受け止め、窓の桟が後頭部に触れた。耳の側に仄かな熱を感じたかと思えばそれは伸ばされた男の腕。ゆるりと肘を曲げて、男の貌は吐息のかからんばかりまで近づいた。
 肌理の細かな綺麗な肌だ。まるで精巧な面のように、男のパーツはそのいちいちが美しかった。そうしていちいち男の強さを表しているようなのだ。まるで、誇示するように。一目見た折から思っていた。それが今までも、今もこの場を立ち去れぬ理由なのかもしれない。男の衣に染みた香の香が、そしておそらく男自身の香が、鼻腔に届き、一護は息さえ潜めた。
「死神さん?」
 揶揄を多分に含んだ声に我に返る。
「お‥前みたいな奴‥、抱けるか‥っ」
 そうだ。帰るのだ。明日先輩に感想を求められたら自分には向かないとでも応えるのだ。少し申し訳ないような顔で笑って。
 気圧されている場合でも、ましてや見蕩れている場合でもないのだ。
 だから一護はようやく発せた己の声に勢いを借りて立ち上がろうとしたのだけれど
「ちがうちがう」
 笑う男の邪気のない顔に
「は?」
 半端に浮かせた腰のまま
「俺はのっかるほう」
 固まった。

 ‥‥‥そうだ、男相手とはそっちの役割もあるのだ。
 すっかり念頭から抜け落ちていた。
「‥‥‥‥」
 ということは、やばくないか?
「ちょ‥っ!ちょっと待て!俺はそんな気はないから‥っ!」
 のっかるって‥、抱くって‥、抱かれるってぇ!!?
 先輩あんた一体何考えてんだ‥!!
 立ち去るなんてなまっちょろいことは言ってられない。そうそうに逃げ出さなければ本格的に貞操の危機だ。死神始めてまだ日は浅いけど、それなりに修羅場は潜り抜けてきたけれど、この種の危機感は味わったことがない。お会いしたくもなかった!
 殆ど飛び出さんばかりに立ち上がりかけて、まぁまぁと男に両肩を押さえ込まれた。
 まぁまぁってなんなんだ。退いてくれ、放してくれ、俺は帰るんだ、と捲くし立てたい口は肩に置かれた手の強さに噤まされた。
「あんた先輩から楽しむように云われてんだろ?実は俺も楽しませてやってくれって頼まれててな。ただじゃ引けねぇわけよ」
「そんなもん適当に誤魔化して‥っ」
「駄目駄目。俺の沽券にも関わるから」
 なんだそれ、と開けた口から今度も言葉が奪われたのは、急に肩を引かれて息を呑んだからだ。
 固い衝撃を覚悟したが、軽い音をたてて背を受け止めたのは薄手の掛け布で。危機感。
「待て‥っ、待て待て待て、止めろ‥っ」
 男の膝に袴を踏まれ上手く足を使えないから腕で男を押し退けようとするけれど、たいした抗力はないと嘲笑うように慣れた仕草で男は帯を解き、前を隠す袴を剥いで上衣を掻き分け
「や‥、‥‥っ!」
 咥えられた。
 冗談じゃない。
「な‥ぁ、ちょ‥っ‥」
 冗談じゃない冗談じゃない冗談じゃない
 ねっとりと熱い舌が萎えた自身を覚まそうと絡めるように這い、口腔の粘膜が吸い付くように蠢き、反応するのを抑えきれず一護の肉棒が立ち上がり始めれば搾るように扱き鈴口を擽る。
「ん‥っく‥」
 腰が震える。撥ねそうになるのを押さえるのに精一杯で、男の頭に宛がった手には望むほどの力を回せない。まさぐるばかりでその細い銀糸を乱しただけだった。
 冗‥談じゃ‥
 固く目を閉じて快楽を散じようとしていた一護はふと男の視線を感じた。
 視られている。
 男はその舌の動きとは裏腹に酷く精悍に己の顔を観察している。
 たまらなくなって逃れようと肘を布団に立てたけれど、身体を引き上げることは出来ず、また身体を反すこともできなくて腰を捉える男の強さを知る。一護は悔しさに掛け布を握りしめ、顔を隠そうと首を捻る。それでも絶え間なく下肢から上る甘美感に振れる首を御することは出来なかった。
「‥ぅく‥ふ、ぅ‥っ」
 さすが、と余裕にも残る理性が男の舌技を称賛する。
 さすが商売としているだけはあるなぁ、と。
 それは羞恥から自我が逃避したいためだったのかもしれない。


 男はじっと一護を観察していた。
 引きつるような喉の先に喘ぎを耐える顔。ひたすら己から顔を隠そうとするものだから確かくは見とめられないけれど。
 頭を打ち振るはずみに覗く口下、眦。それだけで十分に彼の表情は推し量れた。
 喉の奥まで彼を呑み込んで、濡れた音をたてて出し入れしてやるとまるで快感になれていないかのように、敏感に腰を撥ねさせる。怯えるように四肢を縮こませる。
 歯牙たてた唇から零れる荒い息が止めてくれと懇願しているのは分かる。だけれども己の身体を挟む二本の脚はまるで己に離れるなと強請っているようなのだ。
 先走りの汁と男の唾液にしとどに濡れた肉棒が一際膨らみ解放の間近を知らせた。が、男はそれを甘受せずに尿道の根元を戒めた。
「な‥ぁ!?」
 素直に吐き出されるはずだった流れを堰きとめられて一護は反射的に頭を起こせば、自身を咥えたままの男と目が合ってその卑猥さに眩暈を覚えるとともに視線は硬直した。
 笑む男の瞳に真摯な色が混ざっているのを見たようで、一護はそれを問おうとしたけれど震える唇からはすすり泣くような吸気の音を聞いただけだった。
 そうしてまたゆっくりと男は頭をうずめ、口腔の深くへと一護を呑みこむ。もはや限界に震える一物にねっとりとした愛撫は拷問ほどの意味さえもって。抑えられる吐精感の苦しさに一護は男の頭へ手を伸ばした。一度触れながら既に忘れていた男の髪の柔らかさに思わず一度手を引いてしまったけれど、後孔まで伝っていた混濁する汁を指が、いやにさらさらとした印象のある指の腹が、そこへ擦り付けたから強く髪を握り締めた。
 加減もなにも知らない痛みに男は顔を顰め、その拍子に一護自身へも歯があたった。
「ぅあっ‥ぁ‥」
 痛みはない、強い刺激は快感として伝えられた。だけども解放されないままでは微かな刺激さえこれ以上は与えてほしくない。一護の指は男の髪を絡めるばかりに解れ、そうすればまるで男の愛撫に応えているような格好になった。
 男の指は後孔の皺を伸ばすように粘着質の汁を擦りつけては戯れかはずみのように指の先を埋めていく。
「いや‥ぁ‥ぁっ、何、して‥っ」
 それがようよう深さを増していき、その動きに合わせて一護の上擦った声が啼く。
 自身は口に含まれ悪戯に嘗め回されて、後孔は男の指に侵されている。節ばった、男の細く長いその指の形さえ明瞭に知れるから、それだけに泣きたい気分がせり上がる。
「ここをな‥」
「ひ‥ん‥っ」
 一護の内に挿した指をさらに押し込める。そうすれば挿入された中指がその根元まで飲み込まれているのだと知らされた。
 低い、掠れるような声に閉じていた目蓋を開けば眼下に、充血した目で情欲を示す秀麗な貌が突き出されるようにあった。そうしてその喉下には熟れたような色でそそり立つ己の肉棒。
 濡れたそれに触れているはずの空気の温度はもう、計れなかった。
「こうすると‥」
 視界で揺れる唇の動きと耳に届く声の振動が一致しない。目の眩むような感覚に振った一護の首の動きも大儀そうだった。
 腹の中で男が指の関節を曲げ、爪先で内壁を引っかいた。
「んああ‥っ!」
 関節の曲がる音を聞いたと思ったのは気のせいだったろうか。電流の走るような強い痺れになけなしの思考も掻き混ぜられて。捕われていた視線も弾かれるようにはずれた。弓なりに反った背筋、消化されなかった電気信号はそのまま泪に変換される。
「気持ちいいだろう?」
 喉を震わせ哂う男に空気さえ従うように一護の肌を舐めた。


 □ □ □


「まぁこんな風に俺は指だけでも商売にはなるんだよ」
 のうのうと云ってのける男はぐったりと褥に横たわる一護の足下に胡坐をかいて片膝を立てている。彼の着衣に乱れたところは微塵もない。少なくとも一護の目にはそう映った。片時みせた欲の眼も、滲んでいた汗もすっかり引いてしまっていた。
 一護はといえば、もはや隠す気力も残っていないのだろう、半ば着衣してはいるがどれもかろうじて引っかかっているだけの状態で男の触れた肌はどこも露なままだ。上下する胸もまだ僅かに安定していない。
「‥んてこと‥しやがんだ‥‥てめぇ‥」
 ひゅうっと息は気管を擦って口から零れる。それが忌々しいと一護は男を睨みつけるが力無い。男はさも愉快だといわんばかりに唇を撓めた。
「云ったろ?俺の沽券のためだよ。客満足させられねぇようじゃあ俺の評判が落ちちまう」
 店のため、ではないのだ。当然のことではあるだろうが、忠心の欠片もない台詞もこの男から聞けば店の主人が気の毒に思えてくる。どんな人物かは知らないが。それほどこの男からいずる空気は野心的だ。未だ拭いきれない抵抗もその空気のためなのだろう。
 凡てを取り込まんほどに強欲で、凡てを破壊せんほどに狂猛だ。
「お前‥最低だ‥‥」
 諦めに似た溜息を吐き出しながら、頭を擡げる首の力を抜いて敷布に沈み込めば男は肩を揺らし、声を堪えて哂った。
「次もどうぞご贔屓に」

 誰が来てやるか馬鹿野郎。





 終

 自己紹介してませんけど日一です。冬獅郎の性格の破綻ぶりにそういいきるのも無謀なのは重々承知しているのですがなんといいますか、あれ‥冬獅郎が好きっていうか彼のビジュアルが好きっていうか性格も勿論好きなんですが
 小さいままだとのっかる人にはなれないと思ったのででっかくしてみたらこんなんなっちゃいましたというか。
 はい‥ゴメンナサイ‥(ガタガタ

2005/10/29  耶斗