痛い痛い


 昨夜あいつに吸われた胸元の皮膚が痛い。思いっきり吸われて「3日は消えねぇ」なんて哂われた。こないだのは一日も経たずに消えたから「どうせすぐ消える」と哂い返したら、重ねてまた吸われた。


 痛い痛い


 目が痛い。眼球の表面、ベッドヘッドの窓から差し込む朝の光が網膜を蝕む。さらさらと光の粒子を零す白銀が視界の端にちらついて痛い、痛い。目を開けていられないから手の甲を眼窩に押し付けて呻れば
「眩しいか?」
 気遣うような、ただ訊ねるような


 痛い痛い


 空気振るわせる独特の響き持つ声に震わせられる鼓膜が痛い、痛い。



 痛くて居たい
(痛みがお前の存在証明だというのなら)






2006/03/01 日記
2006/04/19 掲載
 耶斗