つまりは好きってことなのさ




「腹減ったー」
「お前、俺といるときそればっかな」
可笑しそうにお前が笑う。細い橙色の髪の毛が太陽の光に透けてて綺麗だけど、まるで世界を支配してるのは俺だというようにぎらぎらしてる太陽の存在は好きじゃない。お前でさえもこいつを見ることは許せないのに。
「だって腹が減るんだ」
「飯喰ってんのか?どうせお前も夜一さんたちみてぇにんななりでガバガバ喰うんだろ」
見ものー、なんていいながら、実物みて吐きそうになってたのを知っている。
「腹減るんだよ」
「コンビニ行くか?」
おにぎり買ってやるよ。
「カロリーメイトがいい」
「あんなんで腹が膨れんのか?」
からからとよく笑う橙頭について歩きながら、冬獅郎はコンクリートに落ちる自分の影をじっと見詰めていた。凝視してると後頭部にささる太陽の熱とで眩暈を起こしそうだった。
だって腹が減るんだ。
「胃もたれしそうだよ」
うんざりしたように転げた呟きを一護は聞かなかった。





(多分'06  耶斗)