02.雷雨 ----------------------------------------------------- そういえば、台風だとか言っていたっけ。 普段ニュースなんかみない。ラジオも聴かない。人の話も‥ あまり聞かない。 綺麗に裏返った傘を持て余して、立ち寄ったコンビニのゴ ミ箱に投げ捨てた。 今日は土曜で学校は休みでだけど練習はある野球部だから。 真面目に制服を着て外に出たけれど、あまりの風の強さに 早々に傘は壊れた。 一先ずコンビニの中に避難して、雨のために張り付いた髪 を掻きあげながら携帯のボタンを押す。繋がると同時に苛 立ちのまま怒鳴りつければ 『はぁ?何言ってんだよ。今日は休みだって言っただろ。』 なんで聞いてないわけお前‥ 呆れた声が返ってきた。 自分のあまりの馬鹿さ加減に言葉をなくし、 『じゃ、俺もう一眠りするから』 と電話の声が切れても、電源のボタンを押せずに呆然とガ ラスの向こうの雨嵐を眺めていた。 ほんの僅かな間だというのに、この悪化の度合いはどうだ。 ‥帰れんのかよ、オレ‥ その時、なんということか。『台風の日は外にでない』と いう常識を知らない己と同じ種類の人間が現れた。 そして、人間には道端で立ち往生しそうな時はとりあえず コンビニに入る習性があるということが彼の持論に付け加 えられた。 △back |