ラブクラシック






廉、と呼ばれて目を開けば見慣れてしまった他人の部屋の
天井と寝乱れた髪をそのままに微笑む端整な貌。己の身体
以外の重みに沈むベッドと、それでなくとも近すぎる他人
の熱に彼が己に被さっているのだと知る。目を泳がせれば
己の顔の真際に男の肘が沈んでいる。
けれどその訳が分からず三橋はただ慌てた。

「は、榛名、さ‥ッ」
けほん、と三橋は痞えた喉に咳をこぼす。
「あーぁ、声いきなり出すなよ。痛ぇだろ?」
そう云って己の額にかかる髪を掻きあげた手は常の体温よ
りもわずか高く、乾いていた。
その自然すぎる仕草に三橋はやはり状況を掴めず呆けてい
たが、目の端を掠めたそれに硬直するとともにこれ以上な
いほど顔、どころか全身を紅潮させた。
「は、はるな‥榛名さ‥」
はくはくと開閉される口は無駄に忙しいのだが、瞠目した
目はただ一点を見つめているのみだ。

その視線を追って、顎を引いた榛名は己の目で確認するこ
とはできないけれど確かに在ると分かるそれに笑んだ。
「お前がつけたんだぜ?」
意地悪く口を歪めて、けれど瞳は楽しげに細められる。
横目でみやるその瞳は先ほど髪を除けたときのそれとは色
を変えていて

あぁ、思い出した。

迫る貌に上げた目は、もはやそれから逸らすことなどでき
なかった。




榛名の頸根から僅か離れた鎖骨の上、くっきりと鬱血に浮
かぶ紅い歯型。







 終

事後ハルミハ。
短すぎてすみませ‥ッ
とりあえず日常目指してみました‥(ぇ)

ハルミハ祭に献上

耶斗































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