旅にでた子供の上忍師と、旅にでた子供を見送った恩師は、旅にでた子供が残していった部屋の広いベランダで顔を合わせた。 「世話してるんですか、イルカさん」 ベランダの手すりに乗って腰を屈めた上忍師は敬礼するように声をかけた。 「カカシさん‥。はい。いつまで帰ってこないのか分かりませんから」 「毎日?」 「いえ。あの子も家を空けることを考えて選んだ子たちですから2,3日おきにでも水をやればいいでしょう」 「手伝いましょうか?」 「そうしてくださいますか?」 助かります。 そうして、旅にでた子供の上忍師と、旅にでた子供の恩師は、旅にでた子供の残していった部屋の広いベランダで、殺風景な部屋の中で、青々と茂る植物たちに水をやる。 帰らぬだろう子供が残していってくれたものだから愛しいと水をやる。 せめて長く生きてくれと、大事そうに水をやった。 「実は俺鉢植えひとつ持ってはいるんですが植物のことってまったく知らないんですよね〜。イルカ先生」 「はい?」 呼んだ声に顔を向ければ 「水はこのくらいで?」 「っやりすぎです!」 だばだばとプランターからこぼれる水に顔を蒼くしたイルカが慌ててカカシの如雨露をそれから離した。 空は快晴。きっと、視界も、良好。 本当の終りへ |